任意売却とは簡単に言うと持ち家を売ることです。
普通の売却とのとの違いは、住宅ローンが残っているかどうかです。
多くは住宅ローンが払えなくなったときの手段のひとつです。
難しそうと諦めずにまずはここを読んでみてください。
よくある疑問や売却の仕方を詳しくご紹介します。
≪この記事の目次≫
任意売却とは?わかりやすく解説!
任意売却とは、さまざまな理由で住宅ローンの支払いが困難になった時や、不動産を売却してもまだ住宅ローンの返済が残ってしまう場合に、債権者(金融機関)の合意を得て不動産を売却する方法です。
競売とは?わかりやすく解説!
競売とは、家の所有者(債務者)の住宅ローンの支払いが滞った場合、金融機関が担保である住宅を強制的に売却する方法です。
どちらを選ぶべき?任意売却と競売の違いを徹底解説!
- 違い①: 売却するのが債務者(家の所有者)の意思か、それとも強制か?!
- 違い②: 売却価格が市場価格に近いか、それとも市場価格よりも低いか?!
- 違い③: 周囲に知られにくいか、知られてしまうか?!
- 違い④: 残った借金を分割で払えるか、それとも一括で支払わないといけないか?!
- 違い⑤: 引越しのタイミングを家の所有者が決められるか、それとも強制撤去か?!
違い①:売却するのが債務者(家の所有者)の意思か、それとも強制か?!
任意売却の場合は、売却することを決めるのは家の所有者です。
本人が直接家を売却することはできませんが、仲介者である不動産会社などの専門家に家の所有者が直接依頼して売却手続きを進めます。
その半面、競売の場合は債権者である金融機関が裁判所に申し立てをして、所有者の意思とは関係ないところで強制的に家を売却します。
違い②:売却価格が市場価格に近いか、それとも市場価格よりも低いか?!
任意売却では、他の不動産売買と同じように市場に出して販売しますので、市場価格に近い金額で売ることが可能です。
一方、競売の場合は裁判所が競売物件の情報を新聞やインターネットで公開した後オークションで売却するので、事情に詳しい不動産業者などが入札することが多く入札価格が低めに抑えられてしまいます。
そのため取引金額は市場価格の70%から50%となってしまいます。
違い③:周囲に知られにくいか、知られてしまうか?!
任意売却は不動産会社が他の物件と同様に販売するため、周囲の人に家の所有者の事情を知られてしまうことがありません。
その一方で競売は新聞やインターネットに家の情報が競売物件として出ますので、競売にかけられた事実は公になってしまいます。
違い④:残った借金を分割で払えるか、それとも一括で支払わないといけないか?!
任意売却で家の売却後に債務(借金)が残った場合、債権者(金融機関)と債務者とが話し合って債務者に負担のない範囲での分割返済が可能です。
ところが、競売の後に債務が残った場合は、債権者は一括払いでの返済を請求してきます。
違い⑤: 引越しのタイミングを家の所有者が決められるか、それとも強制撤去か?!
任意売却は普通の不動産売買と同じなので、家の所有者が購入者を選ぶことができます。
ですから引越しのタイミングを購入者と話し合いで決めることができます。
しかし競売で家が売却された場合は、所有権移転後はすぐに家から退去する必要があります。
立ち退かない場合は不法占拠となり、裁判所から強制執行の引渡し命令を出されることもあります。
このように任意売却と競売を比べて家を売った後の生活の事を考えると、任意売却のほうにメリットが多いようです。
市場価格に近い金額で家を売ることで残りの借金が少なくなり、周囲の人に任意売却であるということを知られることなく、その上引越しのタイミングも家の購入者と話し合うことができる、いいことずくめですね。
任意売却の5つのメリット
- メリット①:市場価格に近い価格で家を売却できる
- メリット②:周囲に任意売却であることを知られない
- メリット③:手数料を売却額の中から支払える
- メリット④:残債(残りの借金)を分割で支払える
- メリット⑤:そのまま今の家に住み続けられる可能性もある
メリット①:市場価格に近い価格で家を売却できる
前述の「任意売却と競売の違い」の中でも触れたように、任意売却では他の不動産売買と同じように市場に出して販売しますので、市場に近い金額で売ることが可能です。
市場価格に近い金額で売れると残債(残りの借金)が少なくなり、のちの返済の負担が軽減されます。
メリット②:周囲に任意売却であることを知られない
こちらも競売との違いの中で説明しましたが、家の売却の際は通常の不動産売買と同じように市場に出しての販売になりますので、ご近所や知り合いに事情を知られることがありません、
メリット③:手数料を売却額の中から支払える
家を売却するときには、仲介手数料や税金などの諸経費が売却額の3-5%くらい掛かります。
任意売却の場合これらの費用は家を売却したお金の中から支払うことが認められています。ですから諸経費を払うために手持ちのお金を使う必要がありません。
メリット④:残債(残りの借金)を分割で支払える
任意売却の場合、家を売った後に残った債務(残債)は、債権者(金融機関)との話し合いで分割して返済することが可能です。
返済額も債務者に無理のない現実的な範囲、通常5,000-30,000円ほどになることが多いです。
メリット⑤:そのまま今の家に住み続けられる可能性もある
任意売却では家の購入者を選ぶことができるため、親戚や友人などに家を買ってもらい新たに賃貸契約を結ぶことで、引越しをせずにそのまま同じ家に借家として住み続けることができます。
もし自宅にそのまま住めなくなったとしても引越しの日程は債権者との話し合いで決めることができますので、ゆっくりと次の家を探すことができます。
任意売却は、周囲に事情を知られることなく競売よりも高い値段で自宅を売却でき、その後も残債を分割返済できたり引越しの日を協議で決められたりと、経済的に厳しい状況におかれている家の所有者にとってとても魅力的な制度といえます。
任意売却の3つのデメリット
- デメリット①:手間が掛かる
- デメリット②:手続きを依頼する仲介業者選びが難しい
- デメリット③:連帯保証人の同意が必要になる
デメリット①:手間が掛かる
任意売却するためにはまずは金融機関に承諾してもらわなければなりません。
そして売却を進めるためには仲介業者と媒介契約をして家を市場に出し、販売、売買契約の締結と順に進めていきます。
強制執行の競売に比べると、自分の意思で家を売れますがその分手続きや手順が多く手間が掛かります。
デメリット②:手続きを依頼する仲介業者選びが難しい
任意売却には債務整理に関する法律の知識や専門的な不動産取引の経験が必要ですが、「任意売却専門業者」と名乗ることに関してのガイドラインは何もないため、残念ながら悪徳業者が存在するのが今の現状です。
悪い会社と契約をしないためには、債務整理に強い弁護士、不動産取引に詳しい税理士や建物取引主任や司法書士など複数の専門家が会社にいるかをきちんと確認することが重要です。
デメリット③:連帯保証人の同意が必要になる
自宅のローンに連帯保証人のいる場合、任意売却するためにはその連帯保証人の同意が必要となります。
連帯保証人と連絡が取れなかったり、同意してもらえない場合は任意売却を進めることができません。
任意売却の7つの流れ
- 仲介業者を決め、相談をする
- 家の査定をしてもらう
- 仲介業者と媒介契約を結ぶ
- 仲介業者とともに債権者(金融機関)と交渉する
- 家の販売開始
- 債権者の同意を得てから売買契約
- 引越し
① 仲介業者を決め、相談をする
まずは任意売却の仲介業者を選び、現在の状況を伝えた上でこちらにあった売却方法やスケジュール、金融機関との交渉内容について相談します。
② 家の査定をしてもらう
家の販売価格を決めるために査定をしてもらいます。
この価格は金融機関との交渉にとても大切になるため、現実的な価格になるようにします。
③ 仲介業者と媒介契約を結ぶ
任意売却の相談や家の査定をしていく中で、その内容に納得がいくようであれば仲介業者と契約を結びます。
④ 仲介業者とともに債権者(金融機関)と交渉する
仲介業者との準備が整ったら、基本的には仲介業者の担当者が金融機関との交渉を始めます。
一般的に、家の所有者は金融機関から連絡があった場合のみの対応となります。
⑤ 家の販売開始
金融機関が任意売却に承諾したら、家の販売が開始されます。
通常の不動産売買と同じように市場に出されますので、購入希望者が内覧にこられることもあります。
⑥ 債権者の同意を得てから売買契約
家の買い手が見つかり販売価格に合意してもらえたら、金融機関に購入申込書と売買代金配分表を提出します。
売買代金配分表とは売却額の使い道を書いた書類です。売却額とその使い道を金融機関が許可してから、買い手への売却が可能となり売買契約を結びます。
⑦ 引越し
買い手との売買契約が完了したら、契約で決められた明け渡し日までに引越しをします。